カルチャー

針を落とすという手間は、なぜ戻ってきたのか。

中古レコード店で一日の客を数えると、二十代と五十代以上がほぼ同数だった。音がいいから買うと言う人は多いが、聴き比べて当てられる人は半分に満たない。それでも、二十分ごとに立ち上がっている。

窓辺の棚に置かれた1970年代のレコードプレーヤーと木製スピーカー。下段にレコードが並ぶ
取材した中古レコード店の再生機。片面はおよそ二十分で終わる。

買っているのは、誰か

都内の中古レコード店で、一日の客を数えさせてもらった。四十七人。うち二十代とみられる客が二十二人、五十代以上が二十一人だった。

若い人がレコードを買っている、という話はよく聞く。この店の店主は、そう言われるたびに首をかしげるという。

「若い人が増えたとは言われますけど、うちは昔から半々です」

二十分で、立ち上がる

レコードは片面でおよそ二十分。終われば音が途切れ、針を上げに行かなければならない。裏返してまた針を落とす。その間、ほかのことはできない。

店主によれば、それを面倒だと言う客はほとんどいない。

「途中で止められないのが、いいらしいんです。止められると、たぶん止めるので」

音の違いは、わかるのか

音がいいから買う、と言う客は多い。ただ、同じ音源のレコードと配信を店内で聴き比べてもらうと、当てられる人は半分に満たないという。

それでも、聴き比べたあとにレコードのほうを買っていく人が多い。理由を聞くと、はっきり答えられる人は少ない。

取材した店
都内の中古レコード店(1974年開店)
中古盤の価格帯
800円〜4,500円
片面の再生時間
およそ20分
一日の客数
47人(平日・取材日)

音がいいから、と言う人がいる。違いは分からない、と言う人もいる。

どちらも、二十分ごとに立ち上がっている。

書き手

鈴木

ライター。ものの手入れと修理を追っている。

鈴木自身の偏愛:12年履いている革靴

べつの見方

部品を替えながら使い続ける、という選択を別の角度から。

偏愛 座面だけ二度替えた椅子を、見せてもらった

日曜の便り

この取材で書けなかった話を、日曜に送ります。

記事に入りきらなかったやりとりや、途中でやめた企画のことを、週に一度だけ送っています。

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