ブーム

最近ジョギングを始めたら、街の景色が変わった。

三か月前から週に三回、同じ道を三キロ走っている。体重は変わっていない。かわりに、朝六時に開いている店が四軒あることを知った。

夜明けの川沿いの遊歩道。並んだ店のシャッターは閉まり、一軒だけ店内に灯りがついている
午前六時前。四軒のうち、いちばん早く開くのがこの店だという。

朝六時の、同じ道

三か月前から、週に三回走っている。距離は三キロ。時間にして二十五分ほどで、走るというより早歩きに近い日もある。

コースは変えていない。家を出て川沿いを上流へ、橋を渡って戻る。同じ道を、三か月で三十七回通った。

開いている店と、閉まっている店

気づいたのは店のことだった。朝六時に開いている店が、この道に四軒ある。パン屋、豆腐屋、クリーニング店、それに理髪店。

理髪店が朝六時に開いていることは、二十年この町に住んでいて知らなかった。中を覗くと、客がいる日もある。

三週目に、豆腐屋の人と目が合って会釈をされた。それから毎回、会釈をしている。話したことはない。

走っていないと、見えない

同じ道を歩いたこともある。ただ、歩くと店の看板や貼り紙を読んでしまう。走っていると読めない。読めないぶん、開いているか閉まっているかだけが目に入る。

三十七回のうち、雨で走らなかった日が九回ある。その日も、開いているかどうかは気になった。

始めた時期
3か月前
頻度・距離
週3回・約3km
走った回数
37回
買ったもの
靴 1足(9,800円)のみ

三か月で走った距離は百十キロほどになる。体重は変わっていない。

変わったのは、朝六時にこの道の四軒が開いていると知っていることだ。

書き手

小川原

編集者。店と人の関係を主に取材している。

小川原自身の偏愛:21年通っている理髪店

べつの見方

朝六時に開いている店を、店の側から見る。

人生ストーリー 退職後、パン屋になった元営業マン

日曜の便り

この取材で書けなかった話を、日曜に送ります。

記事に入りきらなかったやりとりや、途中でやめた企画のことを、週に一度だけ送っています。

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