編集長の部屋
書かないことから、決めました。
ミハラシの編集長、石黒です。創刊のときに決めたことを、ここに置いておきます。方針を変えたときは、この文章のほうを書き直します。
最初に決めたのは、何を書くかではなく、何を書かないかのほうでした。
年齢を書かない。世代でくくらない。「◯◯世代の方へ」という行を読んだ瞬間に、人は読むのをやめます。まとめられた側には、まとめられている自覚があるからです。
順位をつけない。おすすめしない。何年使ったかは書きますが、それを長いとも短いとも書きません。数えたものだけを書いて、判断は読んだ人がすればいい話です。
急がせない。残りいくつ、あと何日、という表示は出しません。急いで決めたものは、たいてい長く使われません。取材で何度もそう聞きました。
ここで扱うのは、誰かが長く使っているものと、その人がそれを替えなかった理由です。派手な話は出てきません。読み終わるのに時間がかかります。それでいいと思っています。
石黒ミハラシ編集長
FIVE RULES
創刊のときに決めた、五つのこと
守れているかどうかは、記事を読めば分かるようにしてあります。破っていたら、下の欄から教えてください。
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01
年齢と世代を書かない
読者を年齢でまとめた時点で、書く内容が平均に寄ります。平均に向けて書いたものは、結局だれにも当たりません。取材相手の年齢も、本人が話の中で言わないかぎり書きません。
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02
順位をつけない、おすすめしない
一位から十位まで並べると、読む人は一位だけを見ます。二位以下に書いたことは読まれません。それなら、はじめから一つずつ書いたほうがいい。
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03
数えられるものだけ数える
「多くの人が」「いま話題の」とは書きません。何人に聞いて、何人がそう答えたかを書きます。数えていないことは、数えていないと書きます。数えられなかった理由も、分かっていれば書きます。
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04
急がせる表示を出さない
締切までの残り時間、残りの在庫数、限定何名。どれも判断を早くさせるための道具です。使いません。ステッカーの企画でも、残り枚数は出していません。
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05
取材した人の言葉を、言い換えない
短くするのは編集の仕事ですが、言い換えるのは別の仕事です。話した順番も、なるべくそのまま残します。記事は出す前に必ず本人に読んでもらい、違うと言われた箇所は直します。
LETTERS
編集長への一通
届いた手紙に、月に一通だけ返事を書きます。選ぶ基準は、私が答えを持っていないことです。
今月の一通
長く使っているものが、一つもありません。買っては替えて、また買っています。何が足りないのでしょうか。
読者・Nさん
足りないものは、たぶんありません。
この連載で聞いているのは「なぜ買ったか」ではなく「なぜ替えなかったか」のほうですが、返ってくる答えはだいたい同じです。「替える理由がなかった」。積極的に選び続けた人には、まだ一人も会っていません。
一つだけ挙げるとすれば、直せるものを買うことでしょうか。31年の茶碗は一度も割れていませんが、24年のまな板は年に一度削っています。18年のエプロンは、紐だけ二度替わっています。自分の手が入ったものは、替えにくくなります。理由は「もったいない」ではなく、たぶん「面倒だから」です。それで十分だと思います。
「値段の話が一度も出てこないのは、なぜですか」
返信 同じものでも買った時期で値段が違います。比べられない数字は、書かないことにしています。
「取材相手の名前が伏せてあるのは、不親切ではありませんか」
返信 名前を出すと、その人の話ではなく、その人の肩書きの話として読まれます。今のところは伏せています。
「毎週は更新しないのですか」
返信 取材が終わった分だけ出します。埋めるために書いたものは、読めば分かります。
石黒について
- 担当
- 編集長。創刊の企画、特集、人生ストーリー
- このサイトで
- 記事6本と特集1本を書いています
- 持ちもの
- 26年使っている革の名刺入れ
- 直したもの
- 角の革を一度だけ張り替えた。中の仕切りはそのまま
- 決めていること
- 取材した相手には、記事が出る前に必ず読んでもらう
- やらないこと
- 取材していない人について、断定して書かない
経歴は載せていません。どこで何年やってきたかより、いま何を決めているかのほうが、読む人の役に立つと思っています。
WRITTEN BY ISHIGURO
石黒が書いたもの
日曜の便り
日曜の便りは、私が書いています
週に一通だけです。記事に入りきらなかったところと、その週に断った企画のことを書いています。断った理由のほうが、たぶん役に立ちます。
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